招き猫、右手と左手で何が違う? 意味と、寺社ごとの小さな物語

正面向きの招き猫の図解。猫自身の右手はお金、左手は人を招くという一般的な言い伝え。寺社や地域によって違いもある。 縁起と願いごと

お店の入口や旅先の土産店で、片手をちょこんと上げている招き猫。よく見ると、右手を上げた猫と、左手を上げた猫がいます。何か違いがあるのでしょうか。

一般的には、右手は「お金」、左手は「人やお客さん」を招くといわれています。ただし、すべての招き猫に共通する決まりではありません。寺社によっては、右手に「人との縁」という意味を込めているところもあります。

左右の見分け方と、その先にある小さな物語をのぞいてみましょう。

右手はお金、左手は人。まずは猫の目線で

日本招猫倶楽部のQ&Aでは、右手上げはお金、左手上げは人やお客を招く、という一般的な言い伝えを紹介しています。

ここで気をつけたいのが、左右の見方です。「右手・左手」は、猫自身から見た右前足・左前足のこと。正面から向かい合うと、私たちから見た左右とは逆になります。

  • こちらから見て左側の手が上がっている → 猫の右手。一般に「お金を招く」とされます。
  • こちらから見て右側の手が上がっている → 猫の左手。一般に「人やお客さんを招く」とされます。

上の図解も、この向きで描いています。お店で出会ったときは、まず「猫から見てどちらの手かな」と眺めてみると、見分けやすくなります。

豪徳寺では、右手で「縁」を招く

右手ならお金、と覚えて東京都世田谷区の豪徳寺の猫を見ると、ちょっと意外な発見があります。

豪徳寺の公式案内によると、寺の「招福猫児(まねきねこ)」は右手を上げ、小判を持っていません。その姿には、人を招き、その人との縁を生かすことを大切にする教えが込められています。

猫が福そのものを与えるのではなく、出会った縁を生かせるかは自分次第、という考え方です。「右手だから金運」とひとくくりにせず、その場所でどんな意味が語られているかを知ると、猫の見え方も変わってきます。

住吉大社には、月ごとに出会う左右の猫

大阪の住吉大社にある楠珺社(なんくんしゃ)でも、招福猫が親しまれています。

住吉大社の公式案内では、左手は人招き、右手は金招きと説明されています。初辰まいりでは、奇数月には左手、偶数月には右手の小さな猫を授かる慣習があるそうです。

左右を選ぶことが、毎月のお参りともつながっているのですね。招き猫を訪ねる楽しさは、姿を眺めるだけでなく、その土地のならわしを知るところにもあります。

「どちらが正解?」より、どんな思いで飾りたい?

自分のためや贈りものに選ぶなら、一般的な左右の意味をヒントにしてみるのも一つの方法です。お客さんとの出会いを願って左手を選ぶ、商いへの願いを込めて右手を選ぶ。そんなふうに、気持ちと重ねて楽しめます。

ただ、寺社や作り手が別の意味を伝えている場合は、その説明を大切にしたいところ。意味に加えて、表情、色、素材、置く場所との相性から選ぶのもよさそうです。

猫を眺めるときは、次の三つに注目してみてください。

  • 上げているのは、猫自身の右手? 左手?
  • そばの札や案内には、どんな物語が書かれている?
  • 毎日目に入ったら、うれしくなる表情をしている?

招き猫は、願いを託して楽しむ縁起物。買えばお金が増えるといった効果を約束するものではありません。手の向きから始まって、土地の物語や自分の好みに出会える。そのくらいの気軽さで、次の一匹を眺めてみませんか。

参考にした資料

資料確認:2026年9月30日。寺社の公式案内をもとに編集した記事です。図解はkotonohaがAIを用いて制作したイメージで、特定の寺社の授与品や実物の商品を再現したものではありません。

タイトルとURLをコピーしました